練習船カレーってどんなカレー?
「かながわの魅力伝え隊」第8回は、帆船日本丸におじゃましました。
日本丸?と思った方もいるかもしれません。
そうです、最近話題の「JMETS練習船カレー」の味のベースのひとつともなっている日本丸。横須賀・久里浜港に停泊しているということで、練習船カレーについて取材してきました。
お相手してくれたのは、JMETS 独立行政法人海技教育機構の千葉さん、日本丸船長の阿部さん、司ちゅう長(料理長)の中山さんです。
横須賀は近代の幕開けの地
JR久里浜駅では、“開国のまち”という看板がお出迎え。横須賀は近代の幕開けとなるペリー来航の地としても有名な町です。1853年にペリー艦隊が日本開国のために上陸した地、ペリーの上陸を記念するペリー記念館があります。ペリー来航に関する資料や模型が展示され、自由に見学することができます。
久里浜港に到着。テクテクと歩いていくと、日本丸を発見です!
澄みわたる青空に太平洋の白鳥ともいわれている日本丸。鮮やかなコントラストは絶景です。
「今日は練習船カレーの秘話を教えちゃいます。」と笑顔で千葉さんが船内へと案内してくれました。
初代日本丸は1930年に建造され、「日本の海の王者にふさわしい船にしたい」という我が国の海運に寄せる期待を込めて「日本丸」と命名されました。
引退後は、横浜市の日本丸メモリアルパークに係留保存され、本年3月には国の重要文化財に指定される旨の文化庁の答申が出されています。
大型練習帆船日本丸&海王丸は、「黒船来航の地」「咸臨丸出航の地」で「我が国近代造船業発祥の地」でもある浦賀で誕生しました。建造所は京急・浦賀駅前にあった住友重機械工業(株)浦賀工場。浦賀工場の前身は、1897年(明治30年)創業の浦賀船渠(株)。英語名がUraga Dock Co.Ltdだったことから、地元の人々は「浦賀ドック」又は単に「ドック」と呼んでいました。
工場はその後、浦賀重工業(株)浦賀造船所、住友重機械工業(株)浦賀造船所、同浦賀工場と変わりました。日本丸は1984年(昭和54年)、海王丸は1989年(平成元年)に竣工しました。
その後浦賀工場は、船舶大型化の時代の流れには逆らえず、2003年(平成15年)3月末、105年の操業を終え閉鎖され、巨大クレーンも撤去されてしまいました。その間、浦賀工場では日本丸&海王丸の他に、艦艇や青函連絡船、貨物船、油タンカー等々の1,000隻を超える艦船が建造されました。
普段見ることの出来ない日本丸船内。一歩足を踏み入れると、異国情緒あふれる雰囲気が漂っていました。
*大型練習帆船「日本丸&海王丸」情報 HP作者:kamosuzu 写真提供:(C)kamosuzu
実習生の熱気とスパイス漂う船内
食堂入るとカレーのいい香りが。カメラを向けると、弾けんばかりの笑顔を見せてくれました。実習生たちの笑顔を見ていると、こちらも自然と笑顔になります。
JMETSは、日本最大の船員教育訓練機関です。
船員養成のための学科教育と練習船による航海訓練を通じた一貫教育を実施。船員に求められる知識や技能を身につけるため、練習船では安全で質の高い航海訓練が行われています。
その練習船で実習生たちが食べているカレーが、いわば“練習船カレー”なのです。
航海訓練で疲れているにも関わらず、美味しそうにカレーを食べています。「カレーの味は?」と質問をすると、元気いっぱいの笑顔で応えてくれました。
さぁ、お待ちかねです。はやる気持ちを抑えて、食堂に向かいます。私たちもカレーを試食させてもらいました。
練習船カレーはここ一番のカレー!
つづいて、司ちゅう長(料理長)の中山さん、開発に携わった千葉さん、船長の阿部さんに話をお聞きしました。
「練習船では、訓練初日をカレーで迎えます。乗船や下船の特別な時に食べるここぞという時のカレーです。」と船長が話してくれました。
すると、「食事面から船員たちの体調管理に配慮し、献立を作成します。その都度、港から港までの食材が変わってくるので献立も変化します。司厨の仕事をしていると、カレーは手を抜いているメニューように思うことがあります。
けれど、実習生のみんながカレーを食べて航海訓練を頑張っている姿を見ると、作った甲斐があったと嬉しくなります。」と中山さんが話してくれました。
「カレーが献立の日は、ご飯の量の減りがとてもすごいです。それだけ、みんなに愛されているカレーです。」と千葉さんが教えてくれました。
「過去に一度だけ、ご飯が底をついたことがありました。実習生、船員のご飯をかき集めても足りなくて。
また、いろいろなカレーを食べてきたけれど、昔はごってりとしたカレー、今はサラッとしたカレーが多い。味付けをする担当によって、カレーの味も個性がでます。」と中山さんが話してくれました。
「船ごとにカレーの味は個性があって、商品化するにあたり“練習船カレー”の味を表現するのには一番苦労しました。」と千葉さんが話してくれました。
練習船カレーに込められた想い、商品化に向けての開発秘話を聞くことが出来ました。
肝心の練習船カレーの味はというと・・・肉や野菜が大きくゴロゴロ。とろっとしたカレールーにスパイスがじんわり。ひと口、またひと口とスプーンを持つ手が止まりません!
練習船カレーは訓練を支える一皿。実習生の夢と浪漫がつまった味。売り上げの一部は、海技教育機構に還元され船員教育訓練の充実が図られます。今日も実習生の夢をのせてどこかで航海しているかもせれません。
JMETS 独立行政法人海技教育機構の千葉さん、阿部さん、中山さん、船員・実習生のみなさん、お忙しいところありがとうございました。